ツーリングタイムスタディ
カテゴリーblog

【現場改善の第一歩】ツーリングタイムスタディとは?~工具交換時間の「見える化」で生産性アップ~
工作機械や切削加工の現場で、「なんでこんなに段取りが長いんだろう?」と感じたことはありませんか?
その答えを“数字”で明らかにしてくれるのが、「ツーリングタイムスタディ」です。
今回は、ツーリングタイムスタディの目的・進め方・得られる効果についてわかりやすく解説します。
ツーリングタイムスタディとは?
ツーリングタイムスタディとは、工作機械での**工具交換作業にかかる時間(ツーリングタイム)**を測定・分析する作業研究(タイムスタディ)の一種です。
目的は明確で、「ムダな時間を洗い出し、改善すること」。
たとえば、
- 工具を探している時間
- 手作業で工具長を測っている時間
- 工具が合わずに取り付けに手間取っている時間
…これらを正確に測り、見える化することで、生産性の向上につながります。
なぜツーリングに時間がかかるのか?
工具交換に時間がかかる原因の多くは「非効率な作業」です。
よくあるムダの例:
- 工具の保管場所がバラバラ → 探すのに時間がかかる
- 工具長の測定を毎回現場で行う
- 段取り方法が作業者ごとに異なる
- 工具のプリセットができていない
- ATC(自動工具交換)登録が手入力
このような作業を細かく分析することで、「何を」「どう変えるべきか」が明確になります。
ツーリングタイムスタディの進め方
1.
対象作業の選定
- 工具交換作業や段取り作業のうち、頻度や重要度の高いものを選びます。
2.
作業の動画撮影 or 直接観察
- 1サイクルごとにストップウォッチやタイムスタディソフトで記録。
3.
作業工程を細分化
例)
- 工具を取りに行く
- 工具を外す
- 新しい工具を取り付ける
- 工具長を測定する
- 寸法入力、試し削り
4.
時間分析・グラフ化
- 各工程の時間を積み上げ、どこに最もムダがあるかを可視化。
5.
改善策の検討・実施
- 例:工具棚のレイアウト改善、工具プリセット化、標準作業書の導入 など
改善後に得られる効果
ツーリングタイムスタディを実施することで、次のような成果が期待できます。
改善内容 | 効果 |
工具配置の見直し | 探す時間の削減 |
プリセットツールの導入 | 段取り時間の短縮 |
標準作業の導入 | 作業のバラつき低減 |
ATCへの事前登録 | 試し加工不要,即運転可 |
10分の段取り時間短縮が、1日5回で50分の生産時間創出になることもあります。
まとめ:まずは「見える化」から始めよう
「工具交換に時間がかかってる気はするけど…」という現場は多いもの。
ツーリングタイムスタディは、現場改善の第一歩として非常に有効です。
- データに基づく改善
- 作業の標準化
- 工具管理の最適化
これらを実現すれば、ツーリングは“止まる時間”から“価値を生む時間”へと変わります。