硬さが速度を決める目安

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【加工の基礎知識】素材の硬さが切削速度を決める?正しい条件設定の目安とは

切削加工では「切削速度(Vc)」や「送り(f)」、「切込み量(ap)」などの切削条件の設定が非常に重要です。しかし、これらの条件は何を基準に決めればよいのでしょうか?

その答えのひとつが、「素材の硬さ」です。

この記事では、素材の硬さと切削速度の関係について、現場で役立つ知識と共に分かりやすく解説します。

切削速度とは?

切削速度(Vc)とは、工具が素材に接触する周速のことで、通常は**m/min(メートル毎分)**で表します。

【公式】

Vc = π × D × N / 1000

  • D:工具径(mm)
  • N:回転数(min⁻¹)

この速度が高すぎると、工具摩耗や焼き付きを引き起こし、逆に遅すぎると効率が落ちて加工面が荒れることもあります。

素材の硬さが切削速度に与える影響

切削速度の設定には、素材の機械的性質、特に「硬さ(硬度)」が密接に関係しています。

【一般原則】

  • 軟らかい材料(例:アルミ、樹脂) → 高い切削速度でOK
  • 硬い材料(例:焼入れ鋼、チタン) → 低い切削速度で調整

なぜなら、硬い材料ほど刃先への抵抗が大きく、摩耗や発熱も増えるためです。

切削速度を決める際のポイント

  1. 加工材の硬さを確認する
    • メーカーの材料データ表や、硬さ測定器で確認。
  2. 工具の種類と材質に合わせる
    • HSS、超硬、セラミック、CBNで大きく異なる。
  3. 加工の種類(荒加工/仕上げ)を考慮する
    • 荒加工ではやや低速でも良いが、仕上げ加工では高精度・高速が求められる。
  4. 工具寿命と加工時間のバランスを取る
    • 高速=速い加工=早く摩耗。目的に応じて使い分ける。

まとめ

切削条件、とくに切削速度は「素材の硬さ」を基準に考えることで、より理論的に設定できます。

硬さ切削速度の基本方針
軟らかい高速でOK,ただし切くず処理に注意
普通一般的な速度範囲で安定加工
硬い低速で刃先の負担を減らす

「なんとなくこのくらいで…」ではなく、素材特性に応じた切削条件を設定することで、工具寿命の延長、加工精度の安定、生産性向上が実現します。

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