鍛造後の機械加工の流れ
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【初心者向け】鍛造後の機械加工の流れとは?工程ごとの役割とポイントを解説!
鍛造は金属に強度を持たせる優れた加工方法ですが、鍛造品=完成品というわけではありません。多くの場合、鍛造後に「機械加工」という工程を経て、図面どおりの寸法や精度に仕上げていきます。
この記事では、「鍛造のあと、どんな加工をしているの?」という疑問に答えるべく、鍛造後の機械加工の流れについてわかりやすく解説します。
なぜ鍛造後に機械加工が必要なのか?
鍛造によって金属の大まかな形状は作れますが、
- 寸法公差が厳しい部分
- 精密な穴あけやネジ切り
- 表面の平滑仕上げ
などは鍛造だけでは対応できません。そこで、「切削加工」などの機械加工で仕上げる必要があるのです。
鍛造品の機械加工フロー(一般的な流れ)
以下は、鍛造品を完成品に仕上げるまでの代表的な工程です。
1.
前処理・洗浄
- スケール(酸化皮膜)や油分を除去
- 必要に応じてショットブラストや酸洗い
2.
チャッキング・治具セット
- ワークを機械に固定(位置決め)
- 精度確保のために専用治具を使用することも
3.
荒加工(粗取り)
- 切削量が多い部位を旋削・フライスで一気に削る
- 目安の寸法まで削り、仕上げ加工の下地を整える
4.
仕上げ加工(精密加工)
- 公差・精度の必要な面を正確に加工
- 穴あけ、タップ、ネジ切り、研削などを含む場合も
5.
熱処理(必要に応じて)
- 焼入れや焼き戻しにより硬さや耐久性を向上
- 加工順序によっては先に熱処理→仕上げ加工となることも
6.
仕上げ検査
- 寸法・形状・外観などを測定器でチェック
- ノギス、マイクロメーター、三次元測定機などを使用
加工で重要なポイント
- 基準面の確保:精度の基礎となる面は最初に仕上げる
- バリ・スケールの処理:鍛造時に出た不要部分は先に除去
- 工具摩耗の管理:鍛造材は硬く工具に負担が大きい
- 熱処理との順番:寸法変化を見越した工程順が必要
まとめ:鍛造と機械加工は一体で考えるべき
鍛造は「素材の骨格づくり」、機械加工は「性能の最終仕上げ」。どちらが欠けても、製品として成立しません。だからこそ、鍛造設計と加工設計は連携が重要です。製品の目的や精度要求に応じて、最適な加工フローを組み立てましょう。