鋼材の種類づくり

【鋼材の種類づくり入門】目的に合わせて選ぶ!鋼の種類とその特徴とは?
私たちの身の回りにあるビルや橋、自動車、工具、家電製品──それらを支えている素材の多くが**「鋼材(こうざい)」**です。
鋼材はすべて「鉄」からできていると思われがちですが、実は使用目的や環境に応じて、さまざまな種類と作り分けがされているのです。
この記事では、鋼材の基本的な種類、特徴、使い分けのポイントを分かりやすく解説します。
鋼材とは?
鋼材とは、「鉄に炭素を加えた合金=鋼(はがね)」を加工して使いやすい形状にした素材のことです。
鋼は鉄に**炭素(0.02~2.14%)**を加えることで、柔らかすぎず、硬すぎず、ちょうどよい加工性と強度を持たせたものです。
鋼材の種類と分類方法
鋼材は用途や性質によって以下のように分類されます。
1.
炭素鋼(Carbon Steel)
鉄と炭素だけで構成された基本的な鋼材。コストが安く、扱いやすいため、最も広く使用されています。
種類:
- 低炭素鋼(軟鋼):建築部材、配管などに使用
- 中炭素鋼:機械部品、シャフトなどに使用
- 高炭素鋼:バネ、刃物、工具に使用(焼入れで硬化可能)
2.
合金鋼(Alloy Steel)
炭素鋼にクロム、ニッケル、モリブデンなどを添加して、特性を強化した鋼。
主な用途:
- 耐熱性や耐摩耗性が必要な機械部品
- 歯車、シャフト、工具など
3.
ステンレス鋼(Stainless Steel)
クロムを12%以上含むことで、サビにくくした鋼。腐食環境に強いのが特長。
用途:
- 厨房器具、化学設備、医療機器
- 建築の外装部材や手すりなど
主な種類:
- フェライト系(磁性あり、加工しやすい)
- オーステナイト系(非磁性、高耐食性)
- マルテンサイト系(焼入れ可能、高硬度)
4.
工具鋼(Tool Steel)
切削工具や金型などに使われる、非常に硬く、耐摩耗性の高い鋼。
代表例:
- 炭素工具鋼(SK材)
- 高速度鋼(ハイス鋼:SKH材)
- 冷間/熱間ダイス鋼(SKD/SKD-H材)
5.
構造用鋼材(建築・土木)
建築や橋梁などの構造物に使われる鋼。強度・溶接性・加工性などを重視。
種類:
- 一般構造用圧延鋼材(SS400など)
- 高張力鋼(SM材):軽量化と強度を両立
鋼材はどのように「つくり分け」られるのか?
鋼材は、成分調整(合金設計)+熱処理+加工方法によって目的に合わせて作り分けられます。
たとえば、同じ鉄でも「高炭素で焼入れ+研削」すればナイフ用鋼に、「低炭素+亜鉛メッキ」すれば建材用にと、性質がまったく異なる素材に変化します。
まとめ:鋼材は“目的に応じて選ぶ”のが基本!
鋼材には驚くほど多くの種類がありますが、その違いは**「何のために使うか」**という目的によって生まれています。
- 強くしたい → 合金化や焼入れ
- 錆びさせたくない → ステンレス
- 精密に削りたい → 工具鋼
鋼材選びを理解することは、より良い設計・加工・製品づくりの第一歩になります。