サビから鉄を守る元素
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【鉄の弱点をカバー】サビから鉄を守る元素とは?合金の力で耐食性アップ!
鉄(Fe)は構造材として非常に優れた素材ですが、最大の弱点は「サビ(腐食)」。
水や酸素と反応して酸化鉄(=赤サビ)になることで、強度や美観、寿命が大きく損なわれます。
しかしこの弱点は、合金元素の力を使ってカバーすることができます。
この記事では、「鉄をサビから守る代表的な元素」とその働きを、わかりやすく紹介します。
なぜ鉄はサビるのか?
鉄は空気中の酸素や水分と反応して**酸化鉄(Fe₂O₃)**になります。
これがいわゆる「赤サビ」。サビは鉄をどんどん内部から壊していくため、放置すると脆くなり、破損の原因になります。
サビ対策の基本は「保護膜を作る」こと
サビを防ぐには、鉄の表面に酸素や水が届かないようにすることが重要です。
合金元素を加えることで、表面に緻密な酸化皮膜=保護膜を形成し、酸素や水を遮断することができます。
鉄をサビから守る代表的な合金元素
1.
クロム(Cr)
- 最も代表的な防錆元素
- 鉄に12%以上加えると、表面に**不動態被膜(Cr₂O₃)**が形成される
- この酸化被膜は非常に薄く、安定しており、酸素や水の侵入を防ぐ
代表例:ステンレス鋼(SUS304、SUS430など)
2.
ニッケル(Ni)
- 単体での防錆力は弱いが、クロムと組み合わせることで耐食性が大幅アップ
- 酸や塩水に強い鋼材を作るために不可欠
- 金属組織を安定させる効果もある(オーステナイト化)
代表例:SUS304(クロム+ニッケル系ステンレス)
3.
モリブデン(Mo)
- 塩素(Cl⁻)に対する孔食(ピンホール腐食)を防ぐ効果
- 海水や化学薬品にさらされる環境に強い鋼材を作れる
代表例:SUS316(クロム+ニッケル+モリブデン)
4.
ケイ素(Si)
- 耐酸性の向上に寄与
- 高温下で酸化しやすい環境において、酸化皮膜を安定化させる役割も
使用例:耐熱鋼、電磁鋼板など
5.
アルミニウム(Al)
- 鋼中に微量添加することで、酸化アルミニウムの保護膜を形成
- 軽量合金や特殊耐熱鋼に使用されることが多い
まとめ:鉄のサビは“元素の力”で防げる!
鉄はそのままだとサビに弱い素材ですが、適切な合金元素を加えることで、環境に強く長寿命な材料に進化させることができます。
- クロム:不動態被膜で酸素を遮断
- ニッケル:耐食性と靭性の補強
- モリブデン:塩害に強い鋼材の要
- その他:SiやAlなども環境に応じて有効
設計段階でこれらの知識を活用することで、錆による劣化やメンテナンスコストを大きく削減できます。