チップブレーカ付き工具とは?──切りくずを制御する“溝”のメカニズム
カテゴリーblog

金属を削る際に必ず発生する切りくず(チップ)。
この切りくずが長く巻きついたり、加工点に絡んだりすると、加工不良や工具破損の原因になります。
こうしたトラブルを未然に防ぐために活躍するのが、チップブレーカ付き工具です。
本記事では、チップブレーカの構造・役割・活用シーンについて、図解を交えて解説します。
チップブレーカとは?
チップブレーカ(Chip Breaker)とは、**切削工具のすくい面に設けられた「溝」や「段差」**のこと。
この溝によって、切りくずを強制的に折り曲げたり、巻き込みを抑えたりする役割を果たします。
チップブレーカの主な目的
- 切りくずの短絡化(ブレーク)
- 長い帯状切りくずを、短く折ることで絡まりを防止
- 加工点からの排出性向上
- 切りくずがスムーズに外へ逃げ、加工面を傷つけにくくなる
- 工具寿命の延長
- 切りくずの巻き込みによるチッピング・摩耗を低減
- 加工の安定化
- 切削抵抗が安定し、振動やビビリの抑制につながる
チップブレーカ付き工具の実例
- 旋削加工用インサート
→ チップブレーカ付きの超硬チップが主流
→ 被削材や条件ごとに溝形状を最適化 - 穴あけドリル(ねじれ溝)
→ 溝内部に小さなブレーカ加工が追加されることもある - 溝入れ・突切りバイト
→ 狭い加工でも切りくずを巻き上げない構造が重要
まとめ:切りくず制御は「加工安定性」の土台
加工で発生する切りくずは、制御されなければ加工の天敵になります。
チップブレーカ付き工具は、見えにくいけれど重要な**“切りくずマネジメント機能”**を内蔵した存在。
切りくずが短く、軽やかに排出されることで、加工も工具も長持ちし、品質も安定します。
切りくずで困ったら、「チップブレーカを見直す」──それが解決の第一歩です。