リニアエンコーダとは?──高精度位置制御を支える“目に見えない定規”

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精密加工機や検査装置、半導体製造装置など、ナノレベルの位置精度が求められる現場で欠かせない存在──

それが「リニアエンコーダ(linear encoder)」です。

本記事では、リニアエンコーダの仕組み・種類・使いどころ・工作機械における役割について、技術的にわかりやすく解説します。

リニアエンコーダとは?

リニアエンコーダとは、直線移動の位置を高精度に計測するセンサ装置です。

「スケール(目盛)」と「読み取りヘッド(センサ)」のセットで構成され、工作機械の軸やスライドテーブルに取り付けられます。

📐 動作原理(代表例:光学式)

  1. センサがスケール上の格子パターンに光を当てる
  2. 回折・干渉により、光の明暗が変化
  3. それを電気信号に変換し、移動量を算出

なぜリニアエンコーダが必要か?

1. 高精度な位置決め

• ボールねじ・サーボ制御だけでは補正しきれない熱膨張や機械誤差を、直接位置測定で補正

2. バックラッシ・たわみの排除

• モーター側ではなくスライドテーブルそのものの位置を検出するため、機械的誤差を排除

3. 加工品質の向上

• 寸法安定性、繰り返し精度、輪郭精度の向上に貢献

• 特に金型加工、微細加工、光学部品製造では必須

メリットと留意点

✅ メリット

  • μm単位〜ナノ単位の位置検出
  • 非接触で摩耗がない(光学式)
  • 温度変化・負荷変動にも高精度対応

❗ 注意点

  • 光学式はクーラントミストや油煙に弱い
  • センサ位置・ケーブル配線にはEMI対策が必要
  • 機械構造との一体設計が重要

まとめ:リニアエンコーダは「精密加工の目」

モーターとボールねじだけでは不可能な超精密位置決め。

その実現には、実際の“移動先”を直接測るリニアエンコーダの存在が欠かせません。

加工精度の極限を追い求めるなら、“制御”ではなく“検出”に注目すべき時代──。

リニアエンコーダは、**未来のものづくりに必要不可欠な「目」**なのです。

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