✅ はじめに

医療機器やインプラント部品は、人体に直接使用されるためミクロン単位の高精度と絶対的な安全性が求められます。特にステンレスやチタン合金などの難削材を扱う場面が多く、工具選びの巧拙が製品品質を大きく左右します。

今回は、医療機器加工の精密性を支える工具選びのポイントを解説します。

🔍 医療機器加工における課題

• 厳格な寸法公差
  　体内での適合性を確保するため、数μmレベルの寸法精度が要求される。
• 高い表面仕上げ
  　粗い表面は感染リスクを高めるため、鏡面に近い仕上げが必要。
• バリの許容ゼロ
  　手術器具やインプラントはバリ残りが致命的欠陥となる。

🛠 ステンレス・チタン対応工具の選定ポイント

1️⃣ 工具材質の最適化

　・ステンレス用：高靭性の超硬工具が好ましい。

　・チタン用：耐熱性の高い超硬グレードやPCDを選定。

2️⃣ 高性能コーティング

　TiAlN、AlCrNなどの耐熱・耐酸化性コーティングが、加工熱による摩耗や溶着を防止。

3️⃣ シャープな刃先形状

　切れ味が良く、切削抵抗を低く抑えることで加工面の微細欠陥を防ぐ。

4️⃣ 小径工具の剛性確保

　細いドリルやエンドミルでもビビりを抑えられる設計を選ぶ。

⚙️ 高精度加工を支えるポイント

• 低速・高送りの適用
  　溶着を防ぎ、加工熱を抑制。
• 高圧クーラントやミスト加工
  　熱影響を最小限に抑え、工具寿命を延ばす。
• 寸法管理の自動化
  　加工後の自動計測でミスを防ぎ、再加工コストを削減。

✏️ まとめ

医療機器加工では、被削材に応じた専用工具と最新コーティングの選定が不可欠です。

「正確で、清潔で、安全」 な製品を生むために、工具選びから加工条件まで一つひとつにこだわり、現場の品質を高めていきましょう。