バリゼロ加工を実現するドリルとエンドミルの工夫
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✅ はじめに
機械加工で厄介な問題のひとつが バリ(切り残しやささくれ) です。特に航空機部品や医療機器など、高精度・高品質が求められる分野では「バリゼロ」が当たり前の要求となっています。今回は、ドリルとエンドミルでバリゼロ加工を実現するための設計と加工の工夫を解説します。
🔍 バリが発生する原因とは?
- 切れ味不足の刃先
- 送り速度や切削条件の不適正
- 切削熱の蓄積で材料が引き延ばされる
- 出口側での繊維や材料のめくれ
バリは加工後の手作業除去がコスト増の元凶です。発生自体を防ぐのが最も効率的です。
🛠 バリを抑えるドリルの工夫
1️⃣ 先端角と逃げ角の最適化
被削材に適した先端形状で食いつきをスムーズにし、出口側でのめくれを抑える。
2️⃣ 段付きドリル(ステップドリル)
下穴加工と仕上げを一体化することで、穴の出口側にバリが出にくい。
3️⃣ 多刃設計で切削負荷を分散
工具先端にかかる力を均一にして、材料を引き延ばさない。
4️⃣ 逆回転による仕上げ(逆回しドリル)
出口側で逆回転をかけ、残留バリを削り取る工法もある。
🗂️ バリを抑えるエンドミルの工夫
1️⃣ ダウンカット刃形
切削方向に材料を押し込むことで、上側のバリ発生を抑える。
2️⃣ 多刃・高ヘリカル設計
切りくずを小さくし、カッターマークを減らして縁部の欠けを防ぐ。
3️⃣ PCDや高耐摩耗コーティング
シャープな切れ味を長時間維持し、摩耗によるバリを抑制。
4️⃣ 最終仕上げ用のトリミングエンドミル
形状を整えながら微細バリを除去できる専用工具。
🔑 加工条件の最適化も重要!
- 送り速度を上げすぎない
- 適正な切削油量・クーラント管理
- 必要に応じて2回加工(粗取り → 仕上げ)
✏️ まとめ
「バリゼロ加工」は工具の工夫だけでなく、適正条件と工程設計の総合力で達成されます。高品質部品の量産を効率化するために、工具選びから条件設定まで徹底して見直しましょう!