工具材種別のエンドミル切削の特性
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~どの材料を選ぶかで加工性能が変わる!~
エンドミルは形状や刃数だけでなく、「工具材種」によってその性能が大きく変わります。超硬・ハイス・セラミック・CBN・ダイヤモンドなど、材種ごとの特性を理解することで、加工品質・工具寿命・コストパフォーマンスの最適化が図れます。本記事では、主要な工具材種とその切削特性を比較してご紹介します。
1. 超硬合金(Cemented Carbide)
- 特性:高硬度・高耐摩耗性・熱に強い
- 用途:鋼・鋳鉄・非鉄金属の汎用加工
- 特徴:
- 切削速度:中〜高
- 耐熱温度:800〜1000℃
- コーティングとの相性が良く、最も汎用性が高い
2. ハイス鋼(HSS:High Speed Steel)
- 特性:粘りがあり、衝撃に強い
- 用途:低速・手動加工、振動の多い環境に適応
- 特徴:
- 切削速度:低〜中
- コストが安く、研磨再利用がしやすい
- 寿命は短めだが、柔軟性に優れる
3. セラミック
- 特性:非常に高温に耐えるが、欠けやすい
- 用途:高硬度材や耐熱合金の高速切削
- 特徴:
- 切削速度:非常に高い(Vc > 400 m/min)
- ドライ加工向き、熱伝導が低いため熱集中しにくい
- 脆性があるため断続加工には不向き
4. CBN(立方晶窒化ホウ素)
- 特性:超硬の10倍以上の硬さ、耐摩耗性抜群
- 用途:焼入れ鋼や超硬材の高精度加工
- 特徴:
- 高硬度・高寸法安定性
- 高価だが仕上げ加工に最適
5. ダイヤモンド(PCD/単結晶)
- 特性:最高硬度を持つ工具材種
- 用途:アルミ合金・CFRP・銅など非鉄材に特化
- 特徴:
- 切削面が非常に美しい
- 鉄系材料には不向き(化学反応で劣化)
まとめ
エンドミルの工具材種は、単に「削れるかどうか」だけでなく、加工品質・寿命・コスト・安全性に直結する選択肢です。加工するワーク材質・精度要求・設備条件に応じて、最適な材種を選ぶことが、ムダのない高効率加工への第一歩です。