切削油剤の有無と種類が工具損傷に与える影響とは?

カテゴリーblog
この投稿をシェア twitter facebook line

切削加工において、切削油剤(クーラント)は「加工品質」と「工具寿命」を左右する極めて重要な要素です。切削油剤の使用有無、そしてその種類によって、工具に生じる損傷の種類や進行速度は大きく変わってきます。本記事では、代表的な損傷モードと油剤との関係を解説しながら、最適な選定と運用方法を紹介します。

■ 切削油剤がもたらす主な効果

  1. 冷却効果:切削熱を抑え、熱による摩耗や塑性変形を防止
  2. 潤滑効果:摩擦を低減し、刃先のビルドアップや損耗を抑制
  3. 切りくず排出性:切りくずの滑りを良くし、詰まりによるチッピングを防止
  4. 防錆効果・洗浄効果:加工環境を清潔に保ち、腐食を防止

■ 工具損傷への具体的な影響例

  • 切削油剤なし(ドライ加工)
     → 高速加工では工具温度が急上昇し、酸化摩耗や熱疲労クラックが発生しやすい。
  • 水溶性油剤使用
     → 適正濃度で使用すれば、ビルドアップ抑制と冷却性のバランスが取れる。長寿命加工が可能に。
  • 不水溶性油剤使用
     → 優れた潤滑性により、溶着や切れ刃損傷を抑える。ただし、冷却性には限界があるため切込みが深い場合は注意。

■ 実際の現場での対策ポイント

  • クーラントノズルの位置調整や、内部給油式工具の活用で、工具刃先まで油剤を確実に届ける。
  • 油剤の定期交換・濃度管理を怠らず、劣化や腐敗を防止。
  • 材質や加工条件に合わせた油剤選定が鍵。特に高合金鋼や難削材には不水溶性タイプが有効なケースも。

■ まとめ

切削油剤は「使うかどうか」ではなく、「どの油剤を、どう使うか」で結果が変わる時代です。加工の安定化と工具寿命延長を実現するために、今一度、油剤管理の基本を見直してみましょう。

お問合わせはこちら