ビビリ現象の原因と対策〜仕上がりを安定させるコツ〜
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■ ビビリ現象とは?
切削加工中に発生する“ビビリ”とは、工具やワークが周期的に振動し、加工面に波状の不良が現れる現象です。正式には「チャタリング」とも呼ばれ、工具寿命の低下や仕上がり精度の悪化を招くため、加工現場では大きな課題とされています。
■ 主な原因
- 機械剛性の不足
主軸や工具保持具の剛性が低いと、微細な振動が増幅されてビビリが発生しやすくなります。 - 切削条件の不適合
送り速度や切削速度がワーク材質に合っていないと、共振を引き起こす原因になります。 - 工具の突き出し過多
工具の突き出しが長すぎると、たわみやすくなりビビリの原因となります。 - 摩耗した工具の使用
切れ味が悪くなった工具は、切削抵抗が不安定になりビビリが発生しやすくなります。
■ ビビリを防ぐための対策
- 剛性の高い機械構成を選ぶ
可能であれば、剛性の高い主軸・ホルダー・工具を選定することで安定性が向上します。 - 工具の突き出しを最小限にする
工具のセットアップでは、突き出し長さを必要最小限に抑えるよう心がけましょう。 - 適正な切削条件に見直す
回転数、送り、切り込み量を調整して、ビビリが発生しにくい条件にチューニングします。 - ダンパー付きホルダーの活用
振動吸収性能を持つ工具ホルダーを活用することで、ビビリを大幅に軽減できます。 - 摩耗工具の早期交換
工具の切れ味が落ちる前に交換し、常に安定した加工状態を維持することが重要です。
■ 仕上がりを安定させるコツ
- 加工音に敏感になる:異音はビビリの前兆です。音に違和感を感じたら即確認を。
- 加工シミュレーションを活用する:CAMソフトの振動解析などで予測・回避も可能。
- 加工順序の工夫:剛性の弱い部分を後回しに加工することで、ビビリを抑制できます。
■ まとめ
ビビリ現象は「機械」「工具」「条件」の3つの要素が複雑に絡み合って発生します。原因を的確に見極め、条件を調整しながら加工の安定化を図ることが、高精度な製品づくりへの近道です。