金属の硬さを測る3つの試験法「ブリネル・ビッカース・ヌープ」とは?
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金属材料の特性を評価するうえで欠かせないのが「硬さ試験」です。中でも代表的なのが**ブリネル(Brinell)、ビッカース(Vickers)、ヌープ(Knoop)**という3種類の硬さ試験法です。それぞれ特徴や用途が異なり、目的に応じて使い分けられています。
■ ブリネル硬さ(HB)
ブリネル硬さ試験は、直径10mmの鋼球を一定の荷重で押し込む方法です。
- 比較的軟らかい金属材料(鋳鉄、銅合金など)に用いられる
- 圧痕が大きく、見やすく安定した測定値が得られる
- 圧痕が残るため、製品には適さない場合もある
■ ビッカース硬さ(HV)
ビッカース硬さ試験は、ダイヤモンド製の正四角錐を押し込む方式です。
- 広範囲の材料(軟質~硬質)に対応可能
- 小さな荷重でも測定可能で、微小領域の評価にも適している
- 精密な読取が必要なため、熟練が求められる場面もある
■ ヌープ硬さ(HK)
ヌープ硬さ試験は、偏平な菱形ダイヤモンド圧子を使い、非常に小さな荷重で微細な部分の測定を行います。
- 薄膜、めっき層、微小部品などに有効
- 圧痕が縦長で読み取りやすく、マイクロスケールでの測定に最適
- ビッカースと比較して、試料への影響が少ない
■ 使い分けのポイント
試験法 | 対象材料 | 用途 | 圧痕サイズ |
ブリネル | 軟質~中硬質金属 | 構造用鋼、鋳鉄 | 大 |
ビッカーズ | 全般 | 精密部品 | 中 |
ヌープ | 微小試料・薄膜 | めっき、半導体材料 | 小 |
■ まとめ
硬さ試験は、材料の耐摩耗性や加工性、耐久性などを知るための重要な指標です。ブリネル・ビッカース・ヌープという3つの試験法を正しく使い分けることで、より正確な材料評価が可能になります。用途や目的に応じて、最適な試験法を選択しましょう。