ステンレス鋼切削でのCBN焼結体の可能性|難削材に挑む次世代ツールの実力とは?
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CBN焼結体(立方晶窒化ホウ素:Cubic Boron Nitride)は、ダイヤモンドに次ぐ硬さを持ち、鉄系材料への切削性能に優れた超硬質材料です。これまでは主に焼入れ鋼や高硬度鋳鉄の加工で使われていましたが、近年ではステンレス鋼加工への応用も進んでいます。
1. なぜステンレス鋼にCBN?
従来、ステンレス鋼は「硬さ」よりも「粘り強さ(延性)」や「加工硬化性」が課題とされ、CBNの適用は限定的でした。しかし、次のような進化により可能性が広がっています。
- 微粒化技術による靱性向上型CBN
- 耐酸化性・耐熱性に優れたコーティングとの組み合わせ
- 切削熱の集中による工具摩耗を抑制する最適形状の導入
2. CBN焼結体の特性
特性 | 内容 |
硬さ | Hv 3000以上(超硬の2倍以上) |
耐熱性 | 1000℃以上でも安定した硬さを保持 |
対酸化性 | Ti系やAl系コートで改良可能 |
摩耗抑制性 | 加工硬化層にも耐える特性をもつ |
3. ステンレス鋼への応用例
- SUS420J2やSUS440Cなど焼入れ系ステンレス鋼の精密加工
- オーステナイト系鋼(SUS304など)への仕上げ旋削での微細切削
- 高精度部品(医療・航空)の連続加工における面粗度安定性向上
4. 使用時の注意点
- 切削条件は保守的にスタート(低送り・浅切込み)
- 工具剛性・チャッキングの精度が仕上がりに直結
- 高価格・脆性破壊のリスクがあるため、断続加工や重切削は避けるべき
■ まとめ
CBN焼結体は、これまで適用が難しいとされてきたステンレス鋼切削においても、今や有効な選択肢の一つとなりつつあります。コーティング技術や母材設計の進化により、高精度加工・長寿命工具としての活用が期待されます。