高周波化が切り拓く新市場|電子部品メーカーの“設計領域”進出が加速
カテゴリーblog

5G・6G、ミリ波レーダー、車載レーダー、IoT通信機器など、電子機器の高周波化が急速に進行するなか、電子部品メーカーの事業領域にも大きな変化が起こっています。かつては「部品を供給する側」であったメーカーが、いまや「設計・提案を担うパートナー」としての存在感を高めつつあります。
高周波領域では、部品単体の性能だけでなく、実装レイアウト、周辺回路設計、シグナルインテグリティ、EMC特性まで含めた総合的な最適化が求められます。これに応えるため、多くの電子部品メーカーは自社内に回路設計やシミュレーションの専門チームを設け、セットメーカーに対して回路ブロックごとの最適構成を提案するようになっています。
とくに、インピーダンス整合やノイズ除去のためのフィルタ回路設計、高周波対応のバラン(平衡・不平衡変換)モジュール、アンテナとの協調設計などにおいては、部品メーカーの知見が製品性能に直結する場面が増えています。
また、Sパラメータや伝送損失、クロストーク解析といった高周波シミュレーションのノウハウを活かし、プリント基板設計段階から関与する事例も珍しくなくなりました。このような動きは、部品単体のビジネスから、設計コンサルティングやモジュール開発といった付加価値型ビジネスへの進化とも言えます。
高周波化は、単なる「性能対応」の問題にとどまらず、電子部品メーカーにとって新たなビジネスチャンスをもたらす原動力となっているのです。