電子部品業界において、いま最も激化しているのは「時間」を巡る競争です。これは単に納期やリードタイムの短縮にとどまらず、「誰よりも早く開発し」「誰よりも早く量産に移り」「誰よりも早く市場を押さえる」――そんな“時間の経済”をめぐる総力戦が繰り広げられています。

新製品のライフサイクルが年々短くなっているなかで、電子部品は製品の開発スピードに追随するだけでなく、時にはそれを牽引する存在としての役割を求められています。たとえば、スマートフォンやEV、5G通信機器などの先端製品では、コンセプト段階から部品サプライヤーが参画し、設計協力・試作対応・信頼性評価を一気通貫でこなすスピード感が不可欠です。

さらに、近年の供給制約や需給変動を受けて、「いかに早く供給を確保するか」「いかに早く供給を再開するか」といった供給チェーン上のスピード競争も熾烈を極めています。短納期対応のために、グローバルな在庫拠点やデジタル在庫連携システムを整備する企業も増えています。

「開発スピード」「生産スピード」「納品スピード」――あらゆる段階において“時間”が勝敗を左右する要因となっている今、電子部品メーカーには、スピードと柔軟性を両立する体制構築がこれまで以上に求められているのです。