電子回路の品質を守る縁の下の力持ち|フィルター業界をけん引する一社独走の構図
カテゴリーblog

電子機器の安定動作には、**不要な信号やノイズを除去する「フィルター部品」**の存在が欠かせません。スマートフォンや車載電子機器、基地局、IoTデバイスに至るまで、あらゆる通信・制御の信号経路にフィルターは組み込まれています。
その中で、フィルター市場は**“一社独走”とも言われる構造が形成されており、日本企業が圧倒的な存在感を放っています**。
■ 電子機器用フィルターとは?
電子機器におけるフィルターとは、特定の周波数帯域の信号を通し、それ以外を遮断する部品です。主な目的は次のとおりです:
- 電磁ノイズの除去(EMI対策)
- 通信の周波数選別(RFフィルタ)
- 電源回路の平滑化やノイズ抑制
構造としては、セラミック・SAW(表面弾性波)・BAW(バルク弾性波)などの方式があり、スマートフォンや無線機器では高周波対応が不可欠です。
■ フィルター市場を独走する村田製作所
フィルター市場において、**村田製作所(Murata Manufacturing)**は世界の最先端を行く圧倒的な存在です。
- SAW・BAWフィルターのシェアは世界トップクラス
- スマートフォンメーカーの多くがMurata製を採用
- セラミック技術に基づく独自材料と微細構造設計が強み
- 積層型・小型化・高周波対応に優れる
通信機器の5G・6G対応化に伴い、使用されるフィルターの数も増加傾向にあり、村田製作所は今後さらにシェアを伸ばす見込みです。
■ その他のメーカーと市場動向
もちろん、他にも高品質なフィルターを手がけるメーカーは存在します:
- TDK:フェライトフィルター、電源ノイズ対策品に強み
- 太陽誘電:高周波対応の小型フィルターに注力
- 京セラ、アルプスアルパイン:モジュール型製品への展開も進む
しかし、高周波・狭帯域・高密度実装への対応では、村田製作所が一歩抜きん出た技術・量産体制を構築しており、全体としては“村田独走”の様相を呈しています。
■ フィルターの今後と課題
- 5G/6G・Wi-Fi 6E/7対応による高周波・多バンド化
- 車載用途での高信頼性・広温度範囲対応
- IoT向けでの超小型化・低コスト化ニーズ
- サステナビリティ対応素材の採用
今後も、高周波対応+多機能化をいかに小型で実現できるかが技術開発の鍵となり、日本のメーカーはその最前線で戦い続けています。