ステンレス鋼切削の表面品位とエッジ品質

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高精度・高信頼を支える加工条件と工具の工夫

ステンレス鋼は耐食性や強度に優れる一方で、加工時の表面粗さやエッジの仕上がりに課題を抱えやすい材質です。特にオーステナイト系(SUS304、SUS316など)では、加工硬化や溶着による微細な欠損が表面品位・エッジ品質の低下につながることがあります。

■ 表面品位が悪化する主な原因

  • 加工硬化の蓄積:再切削部分が硬化し、刃先負荷増加 → 仕上がりにムラ
  • 溶着・ビルドアップエッジ:切りくずが刃先に付着し、表面を引っ掻く
  • びびり振動:加工中の微振動が加工面に周期的な模様(リップル)を形成
  • クーラント不足:熱変形による不安定な削り残し・酸化変色

■ エッジ品質の悪化パターン

  • マイクロチッピング:刃先の微小な欠けにより、加工端にバリ状の損傷が生じる
  • 変形エッジ:塑性変形による丸まりや不整形な切断面
  • バリ残り:送り方向の末端に薄く残る突起 → 後工程での問題要因に

■ 表面・エッジ品位を高める工夫

  • 工具材質とコーティングの最適化:TiAlNやAlCrNなどの耐溶着性コートを選定
  • 切削条件の見直し:過度な送りや切込みを避け、びびりを防ぐパラメータに設定
  • 高剛性ホルダー/高精度主軸の使用:振動を抑え、安定加工に寄与
  • 高圧クーラント or MQL併用:熱対策と切りくず排出の両立で表面保護

■ まとめ

ステンレス鋼加工では、表面の滑らかさ=信頼性や精度の指標となります。

特に医療機器や食品機械、電子部品などの分野では、エッジの微小な不具合も許されません。

工具・条件・設備のトータルバランスで「仕上がりの質」を管理し、高品位加工を実現しましょう。

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