エンドミル切削での「上向き削り」と「下向き削り」
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それぞれの切削現象と使い分けのポイント
エンドミル加工では、工具の回転方向と送り方向の関係によって「上向き削り(逆回転)」と「下向き削り(順回転)」の2方式に分類されます。加工精度や工具寿命に大きな影響を与えるため、それぞれの特徴を理解することは非常に重要です。
■ 上向き削り(逆回転切削/アップカット)
切削現象:
- 切れ刃が被削材に徐々に食い込む
- 初期に刃先が滑りやすく、摩耗の原因となる
- 加工表面にバリが発生しやすい
- 切りくずがワーク側に押し付けられ、加工精度がやや不安定
メリット:
- クランプ力が小さいときでもワークが引き込まれにくい
- 被削材のスケール除去などに有効
デメリット:
- 工具摩耗が早く、刃先の負担が大きい
- 加工面粗さがやや劣る
■ 下向き削り(順回転切削/ダウンカット)
切削現象:
- 切れ刃が材料にすぐに食い込むため、滑りが少ない
- 切りくずが外側に排出され、加工面がきれいに仕上がる
- 工具への衝撃が少なく、摩耗が抑えられる
メリット:
- 加工面の仕上がりが良く、バリが少ない
- 工具寿命が延びやすい
- 高速加工にも向いている
デメリット:
- ワークがしっかり固定されていないと引き込まれる危険性あり
- 食いつき時に切削抵抗が大きくなる
**加工品質を重視する場合は「下向き削り」**が基本ですが、**固定力や工具の剛性に不安があるときは「上向き削り」**を選択することが安全です。条件に応じて適切な方式を使い分けましょう。