高硬度材のエンドミル切削とは?──焼入れ鋼・難削材への挑戦と対策

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焼入れ済みの鋼材や工具鋼など、硬度50HRCを超える高硬度材の加工は、「削る」というより「削り切る」技術。

通常の切削工具では摩耗や欠けが即座に発生し、加工不良や工具破損につながります。

そこで重要となるのが、高硬度材に特化したエンドミル切削の知識と戦略です。本記事では、工具選定、切削条件、加工ノウハウを解説します。

高硬度材とは?

高硬度材とは、一般的に硬度45〜70HRC程度の熱処理済み鋼材や超合金類を指します。代表例として:

  • 焼入れ後のSKD11、SKH51、NAK材
  • 粉末ハイス、超硬工具鋼
  • 放電焼結されたセラミック系金属材料

これらは高い耐摩耗性を持ちますが、切削抵抗が極めて大きく、加工熱も過酷になるため、通常の切削工具では対応できません。

特にCBNエンドミルは硬度65HRC以上でも連続切削が可能な超高性能工具ですが、高価格かつ脆いため使い方には注意が必要です。

熱に強い工具といえど、工具温度の急激な変動は寿命を縮める原因。そのため、安定した切削温度を維持できる条件設定が重要です。

実践ノウハウ:安定加工のための戦略

  • 荒加工は低速・高トルク、仕上げは高速微切削
  • 刃物交換は摩耗末期の前に早めのタイミングで
  • 加工前のバリ取り・面取りでチッピングリスク軽減
  • CBN工具はびびり厳禁:高剛性ホルダ・短刃長必須

また、機械本体の剛性・主軸精度・振動管理も、CBNや超硬エンドミルの性能を活かすには不可欠です。

まとめ:硬い素材には“柔軟な戦略”を

高硬度材をエンドミルで切削するには、「硬いから削れない」ではなく、

“削れる条件と方法を見つけ出す”アプローチが重要です。

工具の選定から切削条件、加工順序まで。適切な設計と戦略があれば、焼入れ鋼でも高精度・高能率加工は実現可能です。

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