化合物半導体ウェーハ|シリコンを超える可能性を秘めた次世代素材

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はじめに

半導体といえばシリコンを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、近年は「化合物半導体ウェーハ」が注目を集めています。化合物半導体は、シリコンでは対応が難しい高速通信や高耐圧、省電力といったニーズに応える素材であり、5G・EV・宇宙開発など最先端分野を支える存在です。本記事では、化合物半導体ウェーハの特徴と種類を紹介します。

1. 化合物半導体とは

化合物半導体は、シリコンのような単一元素ではなく、二種類以上の元素を組み合わせて作られる半導体です。代表例として以下のものがあります。

  • GaAs(ガリウムヒ素):高速動作が可能で、高周波デバイスやレーザーダイオードに利用。
  • SiC(炭化ケイ素):高耐圧・高耐熱性を持ち、EVや産業用パワーデバイスで注目。
  • GaN(窒化ガリウム):高周波・高効率が強みで、5G基地局や電力変換装置に応用。
  • InP(リン化インジウム):光通信や赤外線センサーに用いられる高性能素材。

2. シリコンにはない特性

化合物半導体ウェーハは、シリコンに比べて以下のような特徴があります。

  • 高電子移動度:電気が速く流れるため、高速動作が可能。
  • 広バンドギャップ:高温・高電圧環境下でも安定して動作。
  • 高効率発光:光デバイスに不可欠な性質で、LEDやレーザーに応用。

3. 製造の難しさ

一方で、化合物半導体はシリコンに比べて製造が難しく、コストも高いという課題があります。単結晶成長の難易度が高く、ウェーハのサイズもシリコンのように大口径化が進んでいません。そのため、大量生産分野ではシリコンが依然として主流ですが、ニッチかつ高付加価値分野で強みを発揮しています。

4. 今後の展望

電動車の普及や次世代通信インフラの整備が進む中で、SiCやGaNといった化合物半導体ウェーハの需要は急速に拡大しています。シリコンと化合物半導体が補完し合う関係の中で、産業界は両者を使い分けていく時代に突入しています。

まとめ

化合物半導体ウェーハは、シリコンを超える特性を持ち、次世代の産業を牽引する重要な材料です。今後はシリコンとの住み分けがより明確になり、両者が共存しながら豊かな社会を支える基盤となっていくでしょう。

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