前工程と後工程|シリコンが半導体になるまで

カテゴリーblog
この投稿をシェア twitter facebook line

はじめに

私たちの身近にあるスマートフォンやパソコン、自動車の電子制御ユニットなどに欠かせない半導体。その製造は、大きく「前工程」と「後工程」に分かれています。前工程ではシリコンウェーハ上に回路を形成し、後工程では完成したチップをパッケージ化して実用化します。本記事では、シリコンが半導体になるまでの流れを、前工程と後工程に分けて解説します。

1. 前工程:シリコンウェーハに回路を作る

前工程は、シリコンウェーハを基盤として微細な回路を形成するプロセスです。クリーンルームで行われる超精密作業が中心です。主な工程は以下の通りです。

  • 酸化・成膜:絶縁膜や導電膜をウェーハ表面に形成。
  • フォトリソグラフィ:回路パターンを光で描き込む工程。
  • エッチング:不要部分を削り取り、微細な構造を形成。
  • イオン注入:不純物を注入し、半導体の特性を制御。
  • CMP研磨:平坦化し、次の層を重ねやすくする。

この工程を繰り返すことで、数十層もの集積回路がウェーハ上に作り込まれます。

2. 後工程:チップを完成させる

前工程で回路が形成されたウェーハは、そのままでは使えません。後工程では個別のチップに分割し、パッケージ化して完成品にします。

  • ダイシング:ウェーハを個々のチップに切り分ける。
  • ワイヤボンディング:チップとパッケージを金線などで接続。
  • モールド封止:樹脂などで保護し、外部環境から守る。
  • 最終検査:動作確認や信頼性試験を行い、製品として出荷。

この工程を経て、シリコンウェーハは電子機器に組み込まれる「半導体チップ」として完成します。

3. 前工程と後工程の違い

  • 前工程:ウェーハ単位で行われ、微細加工技術が中心。コストと時間の大半を占める。
  • 後工程:チップ単位で行われ、接続や保護が中心。量産体制の効率性が求められる。

この両輪がそろって初めて、半導体は実用化されます。

まとめ

シリコンウェーハは、前工程で精密に回路を形成され、後工程で実用的なチップへと仕上げられます。その一つひとつの工程に高度な技術と膨大な投資が込められており、私たちの暮らしを支える電子機器の根幹を担っています。半導体が「現代の産業の米」と呼ばれる理由は、この精緻な製造プロセスにあるといえるでしょう。

お問合わせはこちら