“走る電子機器”の時代へ──電動化×自動運転が拓く半導体市場の新章

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21世紀に入り、自動車産業は「エンジンの進化」から「電動化と知能化」へと大きく舵を切りました。特にEV(電気自動車)化と自動運転化の進展は、車両に搭載される電子制御装置を爆発的に増加させ、それに伴って半導体の需要も加速度的に拡大しています。

◆ EVと自動運転が生み出す「半導体需要の塊」

従来のガソリン車では、エンジンやトランスミッションが主役でしたが、EVや自動運転車では「パワーエレクトロニクス」と「AIチップ」が主役になります。1台のクルマに以下のような多種多様な半導体が必要とされるのです:

  • インバータ・コンバータ用のパワー半導体(SiC・GaN)
  • LiDAR・カメラ用のセンサ系IC
  • 走行制御・電池管理・ADAS制御用SoC
  • V2X・5G通信などの通信プロセッサ

電動化によって高電圧回路やエネルギー制御が不可欠となり、自動運転によって膨大なデータ処理やリアルタイム制御が求められます。つまり、自動車1台あたりに求められる半導体の性能と数量は、これまでと比べて桁違いに増加しています。

◆ 市場拡大のインパクト

調査によれば、車載用半導体市場は今後年平均10%以上の成長が見込まれ、2030年には2000億ドル規模に達すると予測されています。これは、PCやスマホを凌駕する巨大市場になる可能性すら秘めています。

また、EV・自動運転車は単なる“乗り物”ではなく、“モビリティ・デバイス”として、通信・AI・IoTの交点に存在する存在です。自動車メーカーがソフトウェア企業に変貌する時代、そこに必要不可欠なのが高信頼・高性能な半導体なのです。

◆ 日本勢にも追い風

この分野では、日本企業にも明るい兆しがあります:

  • パワー半導体で世界上位にいるROHM、三菱電機
  • 車載マイコンで強みを持つルネサスエレクトロニクス
  • 車載部品の信頼性を支える製造装置・素材技術の高さ

EVや自動運転が牽引するこの新たな半導体市場の成長は、グローバル競争を激化させるとともに、産業構造の再定義を促しています。

このブログを書いた人

長谷川 一英

有限会社 長谷川加⼯所

代表取締役

長谷川 一英

切削加⼯の長谷川加⼯所について

切削加⼯で難しい産業部品を柔軟に製作。
アルミ・スレンレス・鉄 etc。
試作・⼩ロット量産。
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