耐熱鋼の種類とJIS規格を解説

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高温環境に耐える特殊鋼の基本を押さえる

高温下でも強度や耐食性を維持する**耐熱鋼(Heat-Resistant Steel)**は、発電プラント、化学設備、ガスタービン、自動車の排気系などで不可欠な材料です。使用環境に応じて、成分や特性が大きく異なり、JIS(日本産業規格)にも多様な鋼種が規定されています。

■ 耐熱鋼とは?

耐熱鋼は、550℃以上の高温下でも強度、酸化スケール抵抗、熱的安定性を保てる鋼種の総称です。

主に、**クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)**などを添加し、スケールの生成抑制や高温強度を確保します。

■ 主な耐熱鋼の分類と特徴(代表的JIS鋼種)

● フェライト系耐熱鋼(Cr鋼系)

  • 特徴:低コスト・熱膨張が小さい・酸化皮膜に強い
  • 用途:ボイラーチューブ、煙道、排気部材
  • 代表例:SUH409, SUH430

● オーステナイト系耐熱鋼(Cr-Ni系)

  • 特徴:高温強度が高く、長時間の使用に安定
  • 用途:ガスタービン部品、炉内機器、過熱器管
  • 代表例:SUH304, SUH310S, SUH321, SUH347

● マルテンサイト系耐熱鋼(Cr-Mo系)

  • 特徴:高強度で、熱疲労に強い
  • 用途:高圧ボイラー、蒸気タービン
  • 代表例:SUH11, SUH12

■ SUH記号の読み方とJIS規格

耐熱鋼における代表的な規格は「JIS G 4311(耐熱鋼棒)」や「JIS G 4313(耐熱鋼板)」です。

**SUH(Steel Use Heat-resisting)**という記号の後に数字が付き、含有成分や組織によって区分されます。

  • SUH304:SUS304に準じた耐熱グレード
  • SUH310S:高Cr・高Niの高耐熱仕様
  • SUH321/SUH347:TiやNb添加で安定化された鋼種

■ まとめ

耐熱鋼の選定では、使用温度、雰囲気(酸化性・腐食性)、機械的荷重、コストを踏まえた材料選びが求められます。JIS規格による鋼種選定は、設計の合理化や信頼性の向上に欠かせません。

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