切れ刃形状が壁面精度を決める!加工品質への影響とは?
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はじめに
加工面の美しさや寸法精度は、切削条件だけでなく、工具の切れ刃形状に大きく左右されます。特にフライス加工やエンドミル加工では、切れ刃の形状次第で、壁面にビビリ痕が出るか滑らかに仕上がるかが決定づけられます。本記事では、切れ刃形状と壁面精度の関係について、実際の工具設計の視点から解説します。
切れ刃形状が壁面に与える影響とは?
切れ刃は、ワークに直接接する工具の「顔」であり、微小な設計の違いが加工痕の均一性、面粗さ、ビビリ痕の発生などに直結します。
- 鋭角すくい刃型は切れ味に優れ、微細切削や低抵抗加工に適していますが、刃先剛性が低く、振動によって壁面の仕上がりに乱れが生じやすくなります。
- **ホーニング加工された切れ刃(面取りあり)**は剛性と安定性に優れ、チッピングや微振動を抑える効果があり、均一で美しい壁面が得られます。
- 不等リード・不等分割刃は切削音やビビリを分散させ、周期的な波紋痕の発生を防止します。
- ラジアスエンドミルなど、刃先に微小な丸みを持たせた形状は、角部への応力集中を防ぎ、仕上げ面を安定させるのに有効です。
実際の仕上がりへの影響
高精度な金型加工や医療部品など、微小な面粗さが要求される領域では、切れ刃形状による仕上げ面の違いが顕著に表れます。シャープな刃は目視では滑らかでも、顕微鏡レベルでは“波打ち”が発生しやすく、加工後の仕上げ研磨が必要になるケースもあります。
反対に、適度なホーニング処理が施された切れ刃は、刃先が安定しており、連続的な加工でも均質な壁面が得られるため、後工程を削減することが可能です。
形状選定のポイント
- 仕上げ面重視なら、ホーニング・不等ピッチ設計が最適
- 高能率重視なら、鋭角で切れ味優先+コーティング付き刃を
- 剛性に不安がある機械では、ラジアス形状や3枚刃構成を優先
おわりに
「切れ刃形状」はただの設計ではなく、加工精度と面品質を支配する重要ファクターです。被削材、加工方法、使用機械に応じて、適切な形状を選定することで、寸法精度と面品質を同時に引き出すことが可能です。特に仕上げ面の美しさが製品の品質に直結する業種では、切れ刃設計に対する理解が成果に直結します。