コーティング工具の進化──TiAlN・DLCの特徴と用途
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はじめに
切削工具の性能向上に大きく貢献しているのが「コーティング技術」です。中でも近年、**TiAlN(チタンアルミナイトライド)やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)**コーティングは、難削材加工や高精度加工に欠かせない存在になっています。この記事では、それぞれの特長と用途を比較しながら解説します。
1. TiAlNコーティングの特徴
✔ 特徴
- 耐熱性◎(800~900℃以上)
- 酸化皮膜(Al₂O₃)による熱バリア効果
- 高速切削に強く、摩耗抑制効果が高い
- 硬さ:HV3000前後
✔ 向いている用途
- 高速加工(例:HSS→超硬切削)
- ドライ加工(クーラントなし)
- 炭素鋼・合金鋼・ステンレス加工
- 金型加工などの連続切削
2. DLCコーティングの特徴
✔ 特徴
- 超低摩擦係数(0.05〜0.1)で抜群のすべり性
- 被削材への溶着を防止
- 比較的低温(~350℃)で使用
- 非常に高い表面平滑性
- 硬さ:HV2000〜3000前後
✔ 向いている用途
- アルミ、銅、樹脂など非鉄金属の加工
- 微細加工・穴あけ加工
- 金型用ピンやスライド部品への摩耗対策
- 高精度を求める仕上げ加工
3. TiAlN vs DLC 比較表
特性項目 | TiAIN | DLC |
耐熱性 | ◎(高温対応) | △(350°程度まで) |
摩擦耐性 | ◎ | ◯ |
摩擦係数 | △ | ◎(超低摩擦) |
溶着防止 | ◯ | ◎ |
主な用途 | 鉄系材料・高速加工 | 非鉄金属・微細仕上げ加工 |
まとめ
加工条件や被削材に応じて、コーティングの種類を正しく選ぶことで、工具寿命の延長・加工精度の向上・コスト削減につながります。進化を続けるコーティング技術を、ぜひ現場の改善に活かしましょう。