工具形状のキホン〜すくい角・逃げ角・チップブレーカとは?〜
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切削工具の性能や加工品質に大きな影響を与えるのが、工具の「形状設計」です。とくに重要な3つの形状要素「すくい角」「逃げ角」「チップブレーカ」について、基本から解説します。
■ すくい角(すくい面の傾き)
定義:
切削刃の先端が、被削材を「押し上げる」方向か「切り込む」方向かを決める角度。
目的と効果:
- 正すくい角:切削抵抗を軽減、加工面がきれい
- 負すくい角:刃先が強くなり、欠けにくい
- 適正なすくい角選定で、切削性と工具寿命が向上
■ 逃げ角(工具と加工物のすき間角度)
定義:
切れ刃の後ろ側が、被削材に接触しないように空けた角度。
目的と効果:
- 接触による摩耗やビビリを防止
- 小さすぎると摩擦増加、大きすぎると刃が弱くなる
■ チップブレーカ(切りくず制御機構)
定義:
切削時に発生する切りくず(チップ)を小さく折り曲げて排出しやすくする構造。
目的と効果:
- 切りくずの絡まり防止
- 加工面の安定性向上
- チップ排出トラブルの軽減
■ まとめ
切削工具の「すくい角」「逃げ角」「チップブレーカ」は、見た目では気づきにくいものの、加工結果や工具寿命を大きく左右する重要な要素です。工具選定や再研磨の際には、これらの形状にも注目してみましょう。