エンドミル加工におけるMQLの効果とは?
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環境性と加工性能を両立する新たな潤滑法
切削加工での潤滑・冷却手法として、従来は大量の切削油を使用する湿式加工が主流でした。しかし、環境負荷の低減やコスト削減を背景に、MQL(Minimum Quantity Lubrication:最小量潤滑)の導入が進んでいます。特にエンドミル加工では、MQLが加工性能と工具寿命の両立に効果的です。
■ MQLとは?
MQLは、微量の切削油を圧縮空気とともにミスト状で工具先端に供給する方式です。供給量は1時間あたりわずか数ミリリットル。従来の切削油使用量と比べ、圧倒的に少ないのが特徴です。
■ エンドミル加工におけるMQLの主な効果
① 工具寿命の延長
ミスト状の潤滑剤が切れ刃と被削材の摩擦を低減し、刃先温度の急上昇を抑制。摩耗やチッピングの抑制に寄与します。
② 加工面品位の向上
切削熱の集中を防ぎ、加工面の熱変質や溶着を軽減。これにより、加工表面が滑らかになり、仕上がり精度が向上します。
③ 切りくず排出性の改善
圧縮空気によるブロー効果で、切りくずを素早く排出。びびりや二次切削の抑止につながります。
④ 環境・作業環境への配慮
切削油の飛散やミストの蓄積が少ないため、クリーンな加工環境を維持。廃液処理の負担も大きく軽減できます。
■ まとめ
MQLは単なる省エネ技術ではなく、加工性能と環境性を両立する切削潤滑の新しいスタンダードです。特に高能率化・ドライ化・工具寿命延長を求める現場において、その導入は大きなメリットをもたらします。
エンドミル加工における持続可能な選択肢として、今後ますます注目されるでしょう。