半導体はなぜ“主役”なのか?──能動部品の要としての役割と日本産業の歩み

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スマートフォン、自動車、家電、ロボット、医療機器…。現代社会のあらゆる電子機器の中核をなすのが「半導体」です。電気を流したり止めたり、増幅したりといった制御が可能なこの素材は、「能動部品」の代表格であり、電子機器の“頭脳”や“神経”と呼ばれる存在です。

◆ 半導体とは何か?

半導体とは、導体(電気をよく通す)と絶縁体(電気を通さない)の中間的な性質を持つ材料のこと。シリコン(Si)を主原料とし、加工や添加によってその電気的特性を自在に変えることができます。トランジスタやIC(集積回路)などの能動部品は、すべてこの半導体の性質を利用して作られています。

◆ 半導体の役割と重要性

電子機器の中で、情報を「処理」する役割を担うのが半導体です。具体的には以下のような機能を果たします:

  • スイッチング(オン・オフ制御)
  • 信号の増幅・演算
  • 記憶・保存(メモリ)
  • 通信・インターフェース処理

これらの機能によって、単なる機械を「賢く」し、IoTやAI、5G、電動車などの基盤技術を支える柱となっています。

◆ 日本の半導体産業の栄光と試練

1980年代、日本の半導体産業は世界市場を席巻し、DRAMなどで世界シェアの過半数を占めた時代がありました。当時の日本メーカーは技術力・品質・量産性のすべてにおいて優位に立ち、「日の丸半導体」の黄金期を築き上げました。

しかし1990年代以降、価格競争や米国との摩擦、さらには台湾・韓国・中国勢の台頭などにより、日本の半導体産業は厳しい局面に直面します。自社生産からファウンドリ委託型への世界的な構造転換にも乗り遅れ、多くの企業が撤退や再編を余儀なくされました。

◆ 再起をかける日本の半導体戦略

近年、再び日本の半導体技術に注目が集まっています。理由は以下の通りです:

  • 次世代材料(SiC・GaN)分野での強み
  • 製造装置・精密部材における高いシェア
  • TSMC熊本工場など、国内製造の再興に向けた動き

量産型製品でのリードは難しいものの、高品質・高付加価値の製造技術や、最先端プロセスへの対応力が再評価されつつあります。

このブログを書いた人

長谷川 一英

有限会社 長谷川加⼯所

代表取締役

長谷川 一英

切削加⼯の長谷川加⼯所について

切削加⼯で難しい産業部品を柔軟に製作。
アルミ・スレンレス・鉄 etc。
試作・⼩ロット量産。
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