なぜ削れる? 切削の原理をやさしく解説
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金属を削る――これは加工の基本中の基本です。でも、そもそもなぜ金属が削れるのでしょうか? 今回は切削加工の原理について、やさしく解説していきます。
■ 切削加工とは「工具で材料を“ちぎる”行為」
切削とは、刃物(工具)を材料に押し当てて、不要な部分(切りくず)を除去する加工方法です。
例えるなら、金属に小さな“ナイフ”で力を加えて削り取るようなイメージです。
■ 「変形」と「破壊」が切削のカギ
材料は、工具の先端で押されると次の2段階を経て削られます。
- 塑性変形:材料表面が変形し始める
- せん断破壊:変形に耐えられなくなり、材料がちぎれる
この一連の流れによって、「切りくず(チップ)」が発生し、材料は削られていきます。
■ 切削の三要素:「すくい面」「逃げ面」「切れ刃」
切削工具には3つの重要な面があります:
面の名前 | 働き |
すくい面 | 切りくずを滑らせる |
逃げ面 | 工具と材料が擦れないようにする |
切れ刃 | 材料に食い込んで切る役目 |
これらが適切な角度で設計されていることで、材料は効率よく切断されていきます。
■ 金属が「削れる」条件とは?
金属のような硬い材料が削れるのは、以下の要因が揃っているからです:
- 工具が金属より硬い(超硬やダイヤモンドなど)
- 加工条件(回転数・送り)が適切
- 工具の形状が切削に適している
■ まとめ
切削加工は、「工具の力で金属を塑性変形させて、破壊していく」という物理現象の積み重ねです。削るというシンプルな行為の中に、材料力学や加工理論が詰まっています。基礎を知れば、加工の奥深さが見えてきます!