上向き削りと下向き削りで変わる切削現象
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切削加工では、「上向き削り(逆回転切削)」と「下向き削り(同方向切削)」という2つの方式があります。これらは工具とワークの相対的な動きによって分類され、加工面の品質、工具寿命、切削抵抗などに大きな違いを生み出します。
1. 上向き削り(アップカット)とは?
工具とワークの進行方向が逆になる切削方式です。
- 切れ刃がワーク表面を滑るように入り、最後に大きく削り取る
- 古くからの工作機械では安全性の面から多く採用されてきた
特徴
- 切削力が上向きに働くため、ワークの浮き上がりに注意が必要
- 工具とワークの間に隙間ができやすく、びびりや摩耗が起こりやすい
- バリや加工面の荒れが発生しやすい
2. 下向き削り(ダウンカット)とは?
工具とワークが同じ方向に動く切削方式です。
- 切れ刃がワークに食い込むように切削開始し、だんだん逃げていく
特徴
- 切削力がワークに押し付ける方向に働くため、安定した切削が可能
- 加工面が美しく、仕上げ面粗さが良好
- 工具摩耗が少なく、工具寿命が長くなる傾向
注意点:
- 工作機械に逆方向トルクを許容する構造があるかを確認
- 特にCNC加工機では下向き削りが主流
まとめ
同じ工具でも「上向き」か「下向き」かで加工結果は大きく変わります。加工内容や機械剛性に応じて適切な方式を選定することで、工具寿命の延長や品質向上、加工効率の向上が期待できます。