切削加工とは?|町工場が語る「削る」技術のリアルなプロセス

こんにちは、町工場で日々ものづくりに向き合っているカズヒデです。今回は、金属加工の基本中の基本、「切削加工」のプロセスについてお話しします。

金属や樹脂の部品を「削って」形をつくる——言葉にすると簡単ですが、その裏側には、職人の技術とノウハウ、そして綿密な段取りが詰まっています。

そもそも「切削加工」って何?

切削加工とは、刃物(工具)を使って材料を削り、目的の形状に仕上げる加工方法です。主に金属部品の製造に使われ、「旋盤」「フライス」「マシニングセンタ」などの機械を使って行います。

たとえば、自動車部品やロボットのアーム、医療機器のパーツもこの技術で作られています。


切削加工の基本プロセス

それでは、実際に工場で行われている切削加工の流れを、ざっくり説明していきます。

① 図面の読み込み・確認

まずはお客様からいただいた図面を確認します。
寸法、材質、表面粗さ、公差、数量などをチェックし、「どう加工すればいいか」を考えます。

ここがポイント:
経験のある加工屋は、図面を見た瞬間に「これは難しいな」「この工程がネックだな」と感覚で把握します。


② 段取り(加工準備)

次に、加工に使う工具の選定、機械の設定、治具の準備を行います。
加工時間を短くし、かつ高精度を出すための「段取り」は、ある意味で加工の半分以上を決める重要な仕事です。

具体例:

  • 材料の固定方法(バイス、チャック、マグネットなど)
  • 工具の突き出し長さや回転数、送り速度の設定
  • クーラントの有無など

③ 荒加工(ラフカット)

いよいよ削りのスタート。まずは大まかな形状を削り出す工程です。
余分な材料を一気に落とし、目的の形に近づけます。

荒加工は「速さ重視」で行うため、工具もがっしりしたものを使い、多少粗くてもOK。


④ 仕上げ加工(フィニッシュカット)

次に、寸法や表面の仕上がりにこだわる精密加工の工程に移ります。
刃物も繊細なものに変えて、より小さな切り込みで、必要な精度や表面粗さに仕上げます。

ここで大事なのは「ビビり(振動)を出さない」ことと、「温度による寸法変化」に気をつけること。


⑤ 検査・測定

加工が終わったら、寸法が図面どおりかどうかを検査します。
ノギス、マイクロメーター、三次元測定機などを使って確認し、品質を保証します。


切削加工は「段取り八分」

加工の世界ではよく「段取り八分、仕事二分」と言います。
つまり、準備がしっかりできていれば、加工はスムーズに終わるという意味です。

実際の現場でも、ベテランほど準備に時間をかけ、加工は短時間で終わらせる傾向があります。


まとめ:見えないところに技術がある

切削加工は、機械が削っているように見えて、実はその裏でたくさんの準備と判断が行われています。

私たち町工場では、「削る技術」を通じて、みなさんの製品づくりに貢献しています。
もし「こんな部品、作れるかな?」と悩んでいる方がいたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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