塑性加工
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【金属の形を変える力】鍛造・圧延・プレスとは?塑性加工の基本と違いを解説!
金属部品は「削る(切削)」だけでなく、「押しつぶして形を変える」という加工方法でも作られています。
このような加工をまとめて「塑性加工(そせいかこう)」と呼びます。
その中でもよく使われるのが、
- 鍛造(たんぞう)
- 圧延(あつえん)
- プレス加工
の3つです。
この記事では、それぞれの塑性加工法の違いと特徴、使い分けのポイントをやさしく解説します。
そもそも「塑性加工」とは?
塑性加工とは、金属を「加熱または常温で力を加え、変形させて目的の形にする加工法」です。
大きなポイントは、「金属を削らずに使うので、材料ロスが少ない」こと。
また、金属の内部組織が締まり、強度も向上するなどの利点もあります。
1. 鍛造(たんぞう):叩いて鍛える加工
● 特徴:
- 金属を叩いたり押しつぶしたりして成形
- 加熱して行うことが多い(熱間鍛造)
● メリット:
- 強度・靭性が高い部品が得られる
- 内部欠陥が少なく、疲労や衝撃に強い
● 主な用途:
- クランクシャフト、ギア、ボルト、航空機部品など
2. 圧延(あつえん):ローラーで延ばす加工
● 特徴:
- 金属の板・棒・線などをローラーで薄く・細くする加工
- 熱間圧延(加熱状態)と冷間圧延(常温)に分類される
● メリット:
- 板厚・断面形状を連続的かつ均一に加工できる
- コイル材や鋼板など大量生産に向いている
● 主な用途:
- 建材、自動車の外板、配管材、ステンレス薄板など
3. プレス加工:金型で一気に打ち抜く・曲げる加工
● 特徴:
- 金型とプレス機で金属を打ち抜いたり曲げたり成形
- 主に板材を対象とする加工法
● メリット:
- 高速・高精度で大量生産が可能
- 成形・穴あけ・曲げが1台の機械で連続処理できる
● 主な用途:
- 自動車部品、家電の外装、ブリキ缶、金属パーツ全般
まとめ:金属は「押して、叩いて、伸ばして」形になる
鍛造・圧延・プレスといった塑性加工は、金属を削らずに形を変える加工技術です。
それぞれに得意な形状・目的があり、部品の強度やコストにも大きな影響を与えます。
- 強度重視なら鍛造
- 大量・長尺材なら圧延
- 量産・高精度ならプレス
設計段階から「どの塑性加工法がベストか?」を考えることで、製品性能と生産効率の両立が可能になります。