ステンレス鋼と耐熱鋼の一般的推奨切削条件|熱・硬化・摩耗にどう立ち向かうか?

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はじめに

ステンレス鋼(SUS304・SUS316など)や耐熱鋼(インコネル、ハステロイ、ニッケル基合金など)は、優れた耐食性や耐熱性を持つ一方、“削りにくい”材料の代表格でもあります。摩耗、加工硬化、切りくず排出性など、加工トラブルの多いこれらの材料に対し、適切な切削条件と工具選定が不可欠です。本記事では、ステンレス鋼と耐熱鋼に対する一般的な推奨切削条件を比較しながら紹介します。

ステンレス鋼の切削特性と推奨条件

特性:

  • 加工硬化が大きい(被削性:中〜難)
  • 粘りが強く切りくずが繋がりやすい
  • 熱伝導が悪く刃先に熱集中しやすい

推奨切削条件(例:SUS304、ドリル加工)

耐熱鋼の切削特性と推奨条件

特性:

  • 高温強度が高く摩耗を誘発しやすい
  • 加工硬化が非常に強い(硬さの急上昇)
  • チップが折れにくく、切りくず処理が困難

推奨切削条件(例:インコネル718、エンドミル加工)

加工時の注意点と工夫

  • 送り量を落としすぎると刃先が擦れる → 摩耗加速
  • 工具突き出し長は最小限に(剛性確保)
  • サーマルクラックを防ぐためクーラントは一定量・安定供給
  • チップブレーカやウェーブ刃先で切りくず処理改善
  • 加工中に振動が出たら即停止 → 工具摩耗やビビリの兆候

まとめ

ステンレス鋼も耐熱鋼も、**「熱」「硬化」「粘り」**という加工上の厄介な性質を持っています。だからこそ、無理な加工ではなく、条件・工具・冷却の三点セットを最適化することがカギです。推奨条件はあくまで基準。実際の現場ではワークの硬度、工具剛性、加工方法に合わせて微調整していきましょう。

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