精度の3区分

カテゴリーblog
この投稿をシェア twitter facebook line

【加工実務の基本】精度の3区分とは?粗加工・中仕上げ・仕上げの違いと使い分け

金属加工や機械加工の現場では、「精度」という言葉がとても重要です。

しかし実務では単に「精度良く加工する」だけでなく、目的や段階に応じて3つのレベルに分けて考えるのが一般的です。

それが、「粗加工(あらかこう)」「中仕上げ」「仕上げ」という精度の3区分です。

この記事では、それぞれの精度区分の意味と、使い分けのポイントを分かりやすく解説します。

精度の3区分とは?

加工の目的や段階に応じて、以下の3段階に分類されます:

1. 粗加工(あらかこう)

● 目的:

  • 大量の材料を効率的に削ることが目的
  • 加工スピード重視。工具負荷も高く、切りくずも大きい

● 精度の目安:

  • 寸法公差:±0.5~1.0mm程度
  • 表面粗さ:Ra 6.3~12.5μm(粗め)

● 使用場面:

  • 鋳造品や鍛造品の余肉除去
  • 仕上げ工程の前段階として「形状の大まかな輪郭を出す」作業

2. 中仕上げ(なかしあげ)

● 目的:

  • 粗加工後の歪み取り・寸法調整・仕上げの準備

● 精度の目安:

  • 寸法公差:±0.1~0.5mm程度
  • 表面粗さ:Ra 1.6~6.3μm(中程度)

● 使用場面:

  • 焼入れ前の整形
  • 仕上げ前の基準面加工
  • 段取り替えが発生しないよう、精度を近づけておく工程

3. 仕上げ加工(しあげ)

● 目的:

  • 最終寸法や公差、面の美しさを満たす加工

● 精度の目安:

  • 寸法公差:±0.01~0.05mm以下(場合によりμm単位)
  • 表面粗さ:Ra 0.2~1.6μm(滑らか)

● 使用場面:

  • 摺動部(ベアリング面、ガイドレールなど)
  • 外観品質が求められる部品
  • 機械精度・機能性能に直結する重要部位

精度区分の使い分けは“ムダ削り”を防ぐ鍵

すべての加工をいきなり仕上げレベルで行うのは、時間もコストもムダになります。

● なぜ3区分に分けるのか?

  • 加工変形を見込んだステップ構成ができる
  • 工具寿命を伸ばしながら効率的に加工できる
  • 寸法・公差を計画的に追い込める

つまり、**「精度の分け方=加工の戦略」**なのです。

まとめ:加工精度は「段階的に整えていく」ことが基本!

区分優先すること加工内容
粗加工時間と削り量材料を大まかに削る
中仕上げ精度と安定性歪み取り、仕上げ準備
仕上げ精度と外観寸法確保、性能保証

加工実務では、「どこまで削るか」「どの段階で何を狙うか」を明確にすることが、品質と生産性の両立につながります。

お問合わせはこちら