精度の3区分
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【加工実務の基本】精度の3区分とは?粗加工・中仕上げ・仕上げの違いと使い分け
金属加工や機械加工の現場では、「精度」という言葉がとても重要です。
しかし実務では単に「精度良く加工する」だけでなく、目的や段階に応じて3つのレベルに分けて考えるのが一般的です。
それが、「粗加工(あらかこう)」「中仕上げ」「仕上げ」という精度の3区分です。
この記事では、それぞれの精度区分の意味と、使い分けのポイントを分かりやすく解説します。
精度の3区分とは?
加工の目的や段階に応じて、以下の3段階に分類されます:
1. 粗加工(あらかこう)
● 目的:
- 大量の材料を効率的に削ることが目的
- 加工スピード重視。工具負荷も高く、切りくずも大きい
● 精度の目安:
- 寸法公差:±0.5~1.0mm程度
- 表面粗さ:Ra 6.3~12.5μm(粗め)
● 使用場面:
- 鋳造品や鍛造品の余肉除去
- 仕上げ工程の前段階として「形状の大まかな輪郭を出す」作業
2. 中仕上げ(なかしあげ)
● 目的:
- 粗加工後の歪み取り・寸法調整・仕上げの準備
● 精度の目安:
- 寸法公差:±0.1~0.5mm程度
- 表面粗さ:Ra 1.6~6.3μm(中程度)
● 使用場面:
- 焼入れ前の整形
- 仕上げ前の基準面加工
- 段取り替えが発生しないよう、精度を近づけておく工程
3. 仕上げ加工(しあげ)
● 目的:
- 最終寸法や公差、面の美しさを満たす加工
● 精度の目安:
- 寸法公差:±0.01~0.05mm以下(場合によりμm単位)
- 表面粗さ:Ra 0.2~1.6μm(滑らか)
● 使用場面:
- 摺動部(ベアリング面、ガイドレールなど)
- 外観品質が求められる部品
- 機械精度・機能性能に直結する重要部位
精度区分の使い分けは“ムダ削り”を防ぐ鍵
すべての加工をいきなり仕上げレベルで行うのは、時間もコストもムダになります。
● なぜ3区分に分けるのか?
- 加工変形を見込んだステップ構成ができる
- 工具寿命を伸ばしながら効率的に加工できる
- 寸法・公差を計画的に追い込める
つまり、**「精度の分け方=加工の戦略」**なのです。
まとめ:加工精度は「段階的に整えていく」ことが基本!
区分 | 優先すること | 加工内容 |
粗加工 | 時間と削り量 | 材料を大まかに削る |
中仕上げ | 精度と安定性 | 歪み取り、仕上げ準備 |
仕上げ | 精度と外観 | 寸法確保、性能保証 |
加工実務では、「どこまで削るか」「どの段階で何を狙うか」を明確にすることが、品質と生産性の両立につながります。