マージン部のフィードマーク摩耗を防ぐには?|加工精度を守る対策と工夫

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はじめに

穴あけ加工やリーマ仕上げなどでよく見られるマージン部のフィードマーク摩耗。工具の寿命低下だけでなく、穴の真円度・表面粗さの劣化にもつながります。本記事では、フィードマーク摩耗のメカニズムと、それを防ぐための実践的対策をご紹介します。

フィードマーク摩耗とは?

フィードマーク摩耗とは、切削工具のマージン(外周部)に、送り方向に沿った擦れ跡が発生する現象です。特に切削条件が適切でない場合や再研磨時のマージン形状の不均一さなどが原因で摩耗が集中し、仕上がり面の品質低下を引き起こします。

主な発生要因

  1. 過剰な送り速度
     ⇒ マージンが被削材と過度に接触し、摩擦熱と摩耗が集中。
  2. 切削液の不足
     ⇒ 潤滑が不十分になり、マージン部が焼き付きやすくなる。
  3. 再研磨不良
     ⇒ マージンの幅・高さが不揃いで局所的な当たりが発生。
  4. 加工穴の逃げ不足
     ⇒ チップや切粉の排出性が悪く、マージンが切粉と擦れる。

フィードマーク摩耗を防ぐための対策

  • 最適な切削条件を設定する
     特に**送り速度(f)と回転数(n)**のバランスが重要。メーカー推奨値を参考に調整を。
  • 切削油の供給方法を見直す
     内径加工では**内径給油式(スルークーラント)**が効果的。
  • マージン幅・高さの管理
     再研磨後の工具はマージン寸法を測定・確認し、偏摩耗を防ぐ。
  • 加工穴の設計改善
     逃げ溝・バックテーパー設計を見直して、工具との干渉を減らす。

加工現場での工夫例

  • リーマ加工では、パイロット穴との段差を極力少なく設定
  • ドリルでは2段・3段マージン設計の工具を選定することで接触面積を分散
  • 加工後の工具外周部の観察と摩耗ログの記録も重要

まとめ

フィードマーク摩耗は、工具の仕様・条件・加工設計すべてのバランスが問われる現象です。わずかな摩耗が最終製品の精度に直結するからこそ、予防的な対策と定期的な状態把握が求められます。現場の声とデータを活かし、ムダな摩耗を未然に防ぎましょう。

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