被削材の6分類

カテゴリーblog
この投稿をシェア twitter facebook line

【切削加工の基礎知識】被削材の6分類とは?材質ごとの特徴と加工の注意点を解説!

切削加工において、工具の寿命や仕上がり品質を大きく左右するのが「被削材(ひさくざい)」、つまり削る対象の材料です。

しかし一口に「金属」といっても、削りやすさ(被削性)は材料によって大きく異なります。

そこで実務では、被削材を6つのグループに分類し、それぞれに合った工具や切削条件を選定します。

この記事では、「被削材の6分類」について、初心者でも分かりやすく解説します。

被削材の6分類とは?

被削材は、材質の特性や切削時の挙動によって、以下の6つに分類されます:

グループ主な材質特徴
P群(鋼)炭素鋼、合金鋼、工具鋼など汎用性が高いが、切削抵抗も大きめ
M群(ステンレス鋼)SUS304、SUS316など粘りが強く、切りくず処理が難しい
K群(鋳鉄)FC、FCDなど硬くて脆いが切削性は比較的良好
N群(非鉄金属)アルミ、銅、真鍮など軟らかく、高速加工に向いている
S群(耐熱合金)インコネル、ハステロイ、チタン合金など高温・高強度で工具摩耗が激しい
H群(焼入れ鋼)HRC45以上の焼入れ鋼非常に硬く、主に研削やCBN工具を使用

各グループの特徴と加工のポイント

【P群】炭素鋼・合金鋼など(一般鋼)

  • 切削性:中程度
  • 特徴:加工温度が上がりやすく、工具摩耗に注意
  • ポイント:適度な切削油使用で温度管理を

【M群】ステンレス鋼

  • 切削性:やや悪い(粘性が高い)
  • 特徴:切りくずが伸びやすく、ビビリや溶着が起きやすい
  • ポイント:鋭い刃先+低速切削+潤滑性の高い切削油が効果的

【K群】鋳鉄(FC・FCD)

  • 切削性:良好(加工が軽い)
  • 特徴:脆いので切りくずは粉状。刃先チッピングに注意
  • ポイント:ドライ加工も可能。研削にも向いている

【N群】非鉄金属(アルミ、銅など)

  • 切削性:非常に良好
  • 特徴:軽切削、高速加工が可能。切りくずが絡まりやすい
  • ポイント:切削条件は高回転・高送り。切りくず処理を工夫

【S群】耐熱合金・難削材

  • 切削性:非常に悪い
  • 特徴:高温強度が高く、加工中に工具が焼き付きやすい
  • ポイント:専用工具(耐熱超硬、セラミック)+低速・高圧クーラント推奨

【H群】焼入れ鋼(HRC45以上)

  • 切削性:極めて低い
  • 特徴:通常の超硬では加工困難。CBNやダイヤ工具が必要
  • ポイント:高硬度仕上げには研削 or 高硬度専用切削加工

被削材分類で加工が変わる!

この6分類を理解しておくことで:

  • 適切な工具選定ができる
  • 加工条件(速度・送り・切削油など)が最適化できる
  • 工具寿命や加工品質の安定化が期待できる

つまり、「何を削るのかを見極めることが、加工の第一歩」なのです。

お問合わせはこちら