被削材の6分類
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【切削加工の基礎知識】被削材の6分類とは?材質ごとの特徴と加工の注意点を解説!
切削加工において、工具の寿命や仕上がり品質を大きく左右するのが「被削材(ひさくざい)」、つまり削る対象の材料です。
しかし一口に「金属」といっても、削りやすさ(被削性)は材料によって大きく異なります。
そこで実務では、被削材を6つのグループに分類し、それぞれに合った工具や切削条件を選定します。
この記事では、「被削材の6分類」について、初心者でも分かりやすく解説します。
被削材の6分類とは?
被削材は、材質の特性や切削時の挙動によって、以下の6つに分類されます:
グループ | 主な材質 | 特徴 |
P群(鋼) | 炭素鋼、合金鋼、工具鋼など | 汎用性が高いが、切削抵抗も大きめ |
M群(ステンレス鋼) | SUS304、SUS316など | 粘りが強く、切りくず処理が難しい |
K群(鋳鉄) | FC、FCDなど | 硬くて脆いが切削性は比較的良好 |
N群(非鉄金属) | アルミ、銅、真鍮など | 軟らかく、高速加工に向いている |
S群(耐熱合金) | インコネル、ハステロイ、チタン合金など | 高温・高強度で工具摩耗が激しい |
H群(焼入れ鋼) | HRC45以上の焼入れ鋼 | 非常に硬く、主に研削やCBN工具を使用 |
各グループの特徴と加工のポイント
【P群】炭素鋼・合金鋼など(一般鋼)
- 切削性:中程度
- 特徴:加工温度が上がりやすく、工具摩耗に注意
- ポイント:適度な切削油使用で温度管理を
【M群】ステンレス鋼
- 切削性:やや悪い(粘性が高い)
- 特徴:切りくずが伸びやすく、ビビリや溶着が起きやすい
- ポイント:鋭い刃先+低速切削+潤滑性の高い切削油が効果的
【K群】鋳鉄(FC・FCD)
- 切削性:良好(加工が軽い)
- 特徴:脆いので切りくずは粉状。刃先チッピングに注意
- ポイント:ドライ加工も可能。研削にも向いている
【N群】非鉄金属(アルミ、銅など)
- 切削性:非常に良好
- 特徴:軽切削、高速加工が可能。切りくずが絡まりやすい
- ポイント:切削条件は高回転・高送り。切りくず処理を工夫
【S群】耐熱合金・難削材
- 切削性:非常に悪い
- 特徴:高温強度が高く、加工中に工具が焼き付きやすい
- ポイント:専用工具(耐熱超硬、セラミック)+低速・高圧クーラント推奨
【H群】焼入れ鋼(HRC45以上)
- 切削性:極めて低い
- 特徴:通常の超硬では加工困難。CBNやダイヤ工具が必要
- ポイント:高硬度仕上げには研削 or 高硬度専用切削加工
被削材分類で加工が変わる!
この6分類を理解しておくことで:
- 適切な工具選定ができる
- 加工条件(速度・送り・切削油など)が最適化できる
- 工具寿命や加工品質の安定化が期待できる
つまり、「何を削るのかを見極めることが、加工の第一歩」なのです。